忍者ブログ
とんぼ玉をはじめ、いろんな手作りの楽しさが伝わればいいな。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

なんで今頃?だけど、ナウシカ漫画版についての感想は、いつか書きたいなと思っていました。
漫画版ナウシカには色々な意見や批判もありますが、この作品の「生命論」には圧倒されます。
簡略化された結末でしたが、訴えている内容が素晴らしかった。

環境汚染、腐海から逃れる人々の暮らし、戦争、宗教などが入り混じった世界で、
全ての元凶を探ろうとするナウシカ達の旅は、人間のあらゆる面も深く掘り下げていきます。
そして漫画版ラストでは、世界を浄化し、争いをしない穏やかな人間と交代させる計画が発覚。
腐海も蟲達も、その計画の為に旧人類によって作られたもので、
人類の体も改良され、腐海の毒がないと生きられない体になっていました。
そして腐海が世界を浄化し、役目を終えた時のため、
きれいな空気でも生きられる人間の卵が、隔離された場所に残されており、
その人類に取って変わられるという計画です。

しかし生死を操作し全てが管理された世界など、命の営みとは言えない。
そこでナウシカは、墓所もろとも新人類の卵を、巨神兵に命じて破壊してしまう。

人間含め、生き物は自分の種の都合で子孫を残そうとする。
(これは少し前に読んだ寄生獣でも伝えられていた事。
寄生獣も作者が生命全般を見渡した視点を持っています。)
それにのっとった墓所の思想も間違いではありませんし、
ナウシカが墓所の破壊において葛藤する事にも意味があります。
しかし、人は人であるがゆえに、尊厳を切り捨てる事は出来ないのでしょう。
「命は光だ!」という墓所の主に対して、ナウシカはこんな言葉を言います。
「命は闇の中にまたたく光だ」
「闇の子」 「虚無」などと言われてしまうナウシカですが、
生命や王蟲の友愛が虚無の深遠から生まれているなど、
作中では無から生まれるあらゆる可能性を主張しています。

刻々と変わりゆく世界を体感せずに理論のみを追求しても机上空論ですし、
生物の生命力の強さに人知が及ばなかった事実もある。
人は確かなものや完璧なものを求めすぎて、可能性の存在を忘れてしまう。
どんなに優れた唯一のものを人工的につくったとしても、
人間を自然から切り離したり、比べたりする事は出来ない。
逆に唯一絶対のものがなくても、人間社会は成り立っちゃうんですよね。
死に支えられた生、粘菌の生態について、環境破壊によって生まれる新たな生態。
自然の営みの中で、地球上に偶然の産物として生まれた人類、
その存続が自然に委ねられていること。
生命とは、生と死、清浄と汚濁、というように切り離した一方の視点だけで考えるものじゃない。
この漫画は命の選別ではなく、様々な角度から人間を世界に取り込んでいます。
当たり前すぎて、人が忘れがちな観点なのではないでしょうか。
現実においても生命が進化したり、新しい生命体に取って代わられる例はありましたが、
上記のような生命の根本は同じです。

卵もまた、歴史を紡ぐ事を恐れ旧人類に未来を託せなかった、哀しい選択でした。
千年ものあいだ浄化の時を待ち眠り続ける卵に見たものは、
真の希望ではなく、生からも死からも逃げたあまりに哀しい形でした。
たとえ争いは絶えずとも、重要なのは愚かさを抱えた私達が、
その中で本当の光を見出しながら、試行錯誤していこうとする意識。
ナウシカの言う「変わる」とは、そうした現実的な進歩を意味するものなのだと思います。

そして仮に人間が自然に淘汰されゆく汚れそのものだとしても、
絶望を知ってなお、人を含め命を愛そうとするナウシカの強さ。
人間が内包する、憎しみや怒りや呪い(もののけ姫でいうならタタリ神の要素)を
心の内で浄化していく事も、まさに肺から血を吐くような苦しみを伴うものではあるけれど、
人にはその可能性もあるのでしょう。


 

まったく余談ですが、いじめ問題について。
群れる動物は、集団で一匹の獲物を捕らえます。
理性が未発達な子供に多発するいじめにも、その本能が関わっているのなら、
その点で明確な目的を持って自分で自分の獲物を捕るという行為を知り、
本能の攻撃性を正しく発散させるのも大切かと思います。
とはいっても集団で獲物を捕らえるという形は難しいですが、
屠殺など、そんな角度からも命の尊さを考える事が出来るはず。
本能における残酷な面を無いものとしようとすると、
人間含め生き物は、必ずどこかに歪みが生じると考えるからです。 



 

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
» マンガ版ナウシカ論
 宮崎駿はアニメの人なわけだけど、ぼくは、マンガ版のナウシカがいちばん好きな作品...
URL 2006/12/31(Sun)22:37
カレンダー
10 2017/11 12
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30
最新CM
[05/08 Rudolphpiek]
[08/07 まさみ]
[07/30 jogson]
[08/11 まさみ]
[08/08 jogson]
[01/13 まさみ]
[01/07 jogson]
プロフィール
HN:
まさみ
HP:
性別:
女性
趣味:
とんぼ玉作り,山歩き,      バイオリン遊び
バーコード
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析
アクセス解析

Copyright © [ 創作といろいろ ] All rights reserved.
Special Template : 忍者ブログ de テンプレート
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]